たわしのある生活

と、言うと使い古された表現になってしまうかも知れませんが、みなさんの生活の中でたわしを使う機会はあるでしょうか?

そして、そのたわしの使い勝手はいかがですか?

決して少なくない人たちから、使いにくい。すぐ毛が抜けたり、水でふやけてダメになる。持っている手が荒れてしまったなどの声をお聞きすることがあります。

どうせ安物だし。

どうせタワシだからこんなものでしょ。

家ではほとんど使わないから何でも良いよ。

こんな声をお聞きしたり、イメージを持たれている方をお見かけすると、長年たわしを含む家庭用品の製造に携わり続けてきた私たちにとってはとても悲しく、
反面、大量生産、大量消費のための商品を追い続けることで結果的に、たわし本来の価値をお伝えしてこなかった自分たちの責任を強く感じています。

一度、今お使いのキッチン用品や掃除道具を交換する際、素材に「棕櫚(しゅろ)」と書かれているたわしを使ってみませんか?

現在色んなアイデアを駆使した機能的な日用品は数々ありますが、私たちは本当に職人が丹誠込めて作り上げた しゅろたわしが持つやさしさは、どんな高性能な物に比べても全く引けをとらない素晴らしい価値のあるものだと考えています。

それは単に機能面だけでなく、昔から使われていた棕櫚のたわしが実は、人にも環境にもやさしく、ずっと長く大切に愛用できる道具だからです。

大量生産・大量消費の時代を経て、現代では本質的な商品価値が問われています。

このまましゅろたわしのある生活、文化を無くしてしまって良いのか。改めて今、みなさんの目で、手で、確かめてみてほしいのです。

しゅろのたわしは普通のたわしに比べてしっとりと深い茶色が特徴で、価格は安物のたわしに比べるとずいぶん高い気がしますが、それでもジュースやコーヒー数個分程度。それに長くずっと使える物ですので長い目で見ればコストパフォーマンスが良い商品と言えるでしょう。

海外製でも大丈夫だとは思いますが、品質面を考えるとせっかくなら国産と表記されたものをオススメします。
私たち高田耕造商店のしゅろたわしをご購入いただければ、それはもちろん嬉しいことなのですが、ご近所で手軽に買うことができる物で構いません。

まずは目の前の商売は抜きにしても、しゅろたわし自体について今の若い世代の人達にも知っていただきたい。

言葉にしてしまうと嘘のように聞こえてしまうかも知れませんが、代表の高田英生はじめスタッフ全員が本気でそんな思いを持って日々活動しています。

製品で使う棕櫚皮を採取しているシュロ山風景。和歌山県

自然の素材だけを使って職人の手作業で作っている昔ながらのしゅろたわしは、安全で、とにかく長持ちし、何にでも思いつく限りの物ほとんどに使えるのが特徴。

もっと詳しい、しゅろたわしの使い方や普段の暮らしへの取り入れ方は、以前このブログでも書いた棕櫚たわしの用途いろいろという記事や、これからもこのブログで様々な たわしのある生活のご提案をしてみたいと思います。

まだ一度もしゅろたわしをお使いになったことのない方は、まずは一度、お近くのたわしを売っていそうなお店へ行って「しゅろたわし」に触れてみてください。
その柔らかさ、やさしさに驚かれるかも知れませんね。

しゅろたわしのある生活を取り入れて、ほんのちょっぴり豊かな気持ちになってもらえれば。
そんなことを考えながら、私たちはこれからも棕櫚の持つやさしさをお伝えしていこうと思います。

鉄のフライパン洗いには棕櫚たわしは向いていますか?[お客様からいただいたご質問]

高田耕造商店では、メールやお電話、イベントで出店の際など直接お客様からご質問、ご感想を寄せていただくことがあります。
そこでお話させていただいたご質問内容や、貴重なご意見などをもっと多くの方にいつでも見ていただけるように公開すればより多くの方の参考になるのでは。ということでいただいたご質問、ご感想をブログ上にてご紹介させていただくことにいたしました。

今回は、鉄製のフライパンへの使い方についてのご質問です。

 
お客様からいただいたお問い合わせ内容

やさしいたわしということですが、
鉄のフライパンを洗う用に使いたいと思っていますが鉄には不向きでしょうか?

 

もちろんフライパン洗いにも最適です。ただし頑固なコゲ落としなどは固めで毛先の詰まった製品がオススメです

A様
この度はお問い合わせありがとうございます。
お伺いいただいているのは「フライパンにやさしいたわし」のことでしょうか?

フライパンの使用状況にもよりますが、もちろん鉄のフライパンにもお使いいただけます。

一般的に流通しているパームのたわしに比べ棕櫚のたわしはとても柔らかくできているため力を入れずに軽く擦るような洗い方をしていただければ、フライパンやうつわ自体を傷つけずに汚れを落としてくれます。
弊社商品でしたら、繊細なテフロンや銅、ガラス製品にも問題なくお使いいただいております。

それとは逆に、こびり付いた焦げやガンコな汚れをゴシゴシと洗いたい場合でしたら、金タワシや弊社商品であれば「かかとにやさしいたわし」のような毛先が短くて目の細かい道具がオススメです。

ご参考になりましたでしょうか?
もし他にもご質問などありましたらいつでもお気軽にメール(24時間受付):info@takada1948.jpやお電話(平日9:00-17:00):073-487-1264でご相談くださいませ。

それでは失礼いたします。

高田耕造商店

一部商品の販売終了予定について

毎度おおきに!高田耕造商店です。

高田耕造商店で取り扱っている棕櫚製品の多くは、紀州野上谷産棕櫚たわしと明記している製品以外すべて中国からの輸入原料から作らています。
これは、現在日本に流通している棕櫚製品のほとんどが中国からの輸入原料を使っているため、国産との大きな価格差や供給量を考えるとすべての製品を国産シュロ皮で作ることができないためなのですが、ただ最近は中国でも棕櫚産業自体が縮小しているのかもしれません。

実は先日より、高田耕造商店で取り扱っているフライパンにやさしいたわし(棕櫚の茶釜洗い)、棕櫚皮を使った手箒の素材であるシュロ皮の最も柔らかい部分(まだ木の表には出ていない新芽のシュロ皮)の入荷が終了になったとの連絡が入りました。

このシュロ皮は他の繊維と違い、木を切り倒して幹の中にある素材を取り出す手間がいるため元々流通量が少なかったのですが、今回で入荷がかなわなくなりました。

残念ですが、フライパンにやさしいたわしや荒神箒や鶏冠箒などの手箒のシリーズは現在ある在庫のみの販売で売切れ次第販売終了となる予定です。

-現品限りとなる製品一覧-

今後はそれらに代わるような新製品を考案してまいりますので、ご購入を検討いただいているお客様にはご不便をおかけいたしますが、完売の際は上記事情をご理解いただければ幸いです。

棕櫚縄(しゅろなわ)職人を訪ねて

about the craftman of rope

何度かこのブログでも話に出てきた高田耕造商店特製の棕櫚(シュロ)縄。

先日の台風12号が和歌山に来る前日、国産のシュロ縄をまた作ってもらおうと私たちは、棕櫚縄職人を訪ねて和歌山県にある旧野上谷の地域へ向かっていました。

 

棕櫚山の近況

この付近で紀州野上谷産の棕櫚皮は1枚ずつ採取されています

山はあいにくの雨だったので撮影も少なめ

工場の横に生えていた若い棕櫚の木

 

製造工程

作業中は棕櫚皮の粉がもうもうと舞っている工場で長年、棕櫚縄を作り続けている職人さんに話を伺うと、東北の地震被害以降は、漁で使われていた縄の多くが流されてしまったため今年・来年頃までは非常に注文が多くなっているとのこと。
棕櫚縄というのは本当に水に強く、何年も激しい漁場で使い続けられるため、大変重宝されているようです。

まずは網目状になっている棕櫚の繊維を機械でほぐす

捌いた繊維は次にある程度の太さの縄状に加工。まだまだ縄の前工程

湿度などの変化でも縄の重さが変わるので一定の品質に保つには職人の感覚だけが頼りに

棕櫚縄作りの工程は全てが機械による自動ではなく、今でも職人による手作業の工程が多く見受けられました。
最終工程では、機械に測定されるので縄が同じ長さにはなるものの、その日の湿度・天候によって縄自体の重さが変わってしまうそうです。
それを防ぐため事前の工程で職人が手の感覚に頼りながら均一な重さになるよう調整をかけているんだよ。と誇らしげに語ってくれました。

ただ、そんな棕櫚縄職人も高齢化が進み年々少なくなっている、とも話されていました。

これは棕櫚縄だけでなく、どの産業でも各々素晴らしい技術を持った方々が支えている多くの製品が抱えている問題です。
その職人が辞めてしまえば後継者がなく、この世から無くなってしまうものが本当に多いんだなと、自分たち含めこうして各職人さんにお話を伺うとそんな現実が見えてきます。

私たち高田耕造商店は「残す」ということを第一に考え、活動しています。
途絶えてしまった棕櫚産業を残すこと。
棕櫚に関わる職人たちの技術を残すこと。

では、何をすれば残していくことができるのか?ただ無理に伝統文化だからと需要のないものを作り続けるのは残すことにはなりません。
今まで培ってきた技術、素材を生かして素晴らしいものを作って、その良さをきちんと伝えること。
どれだけ価値ある物を作っても職人は儲からないという現状を、憧れられる職業に変えていくこと。
などなど。地方の小さな工房でしかない私たちがどこまで変えることができるかは分かりませんが、高田耕造商店の活動を通してちょっとでも小さな変化から起こしていければと考えています。

少し話がそれてしまいましたが、そうして貴重な国産シュロ皮から縒(よ)られた棕櫚縄職人謹製の棕櫚縄は、紀州野上谷産棕櫚束子や竹柄付き製品などに使われています。
熟練の職人が丹精こめて作った棕櫚縄は、しっかりと高田耕造商店の棕櫚たわしの一部としてお客様のお手元で活躍しています。

たわしになれなかった残りの85%


 

国産棕櫚たわしができるまで

棕櫚の原料から全てを国産、地元の野上谷産のシュロ皮で地元の職人たちが一つひとつ丁寧に自分たちの手で作り上げている紀州野上谷産棕櫚束子(きしゅうのかみだにさん しゅろたわし)。

私たちがはじめに純国産の棕櫚たわしをつくろうと思ったとき、安価に輸入できるパーム繊維や化学繊維が中心となった今、原料のシュロ皮を採取する棕櫚皮職人自体がほぼいなくなっていたのが現状でした。

かつてシュロ皮を採って生計を立てていた職人にもう一度シュロ皮を採ってもらうところから純国産棕櫚たわし作りは始まりました。

棕櫚皮職人が使う皮はぎ用のナイフ

さらに、数十年前に産業が途絶えてしまい荒れ放題になっていた棕櫚の森は、かつて最高級と呼ばれた棕櫚皮の品質には程遠いものでした。

雑草を取り、樹皮の手入れなどをコツコツと毎日おこない続けます。

そうして、ようやく納得できる品質の紀州野上谷産棕櫚たわしとして自信を持って販売することができるようになるには、計画が始まってから数年の月日が必要でした。

そんな私たちの思い入れがたくさん詰まった貴重な国産棕櫚皮ですが、採った全てがタワシとして使えるわけではありません。

 

棕櫚皮の一番毛のみを使った紀州野上谷産

棕櫚皮の拡大画像。繊維が網目状になっている


紀州野上谷産棕櫚たわしは一つひとつが最高の品質になるよう、製造する際、一番毛と呼ばれる棕櫚皮全体の15%程度の部分だけを使っています。

お茶などでも最高級品にはファーストフラッシュ(一番摘み) と呼ばれているように、棕櫚の皮でも一番しっかりとしていながらも柔らかい一番毛と呼ばれる繊維が最も上質です。
普通の棕櫚たわしなら、繊維を捌いた際に抜け落ちた2番毛と呼ばれるものも、もう一度集めてたわしにしてしまうのですが、私たちの棕櫚たわしには、品質のバラつきが出てしまうためあえて使わないようにしています。

 

残った繊維はシュロ縄として生まれ変わります

棕櫚縄の製造風景


ただ、貴重な国産のシュロ皮を85%も使わずに捨ててしまうのはあまりにももったいない。
残った棕櫚皮はもう一度集めて、今度はしゅろ縄職人の元でシュロ縄に生まれ変わります。

シュロ縄というのは水にとびきり強く、長期間使い続けられる特性が重宝されて、今でも漁師の方たちの網や、園芸用のロープとしてよく使われていますね。

しかも国産の棕櫚皮から作られた縄なので、今ではどこにもない大変貴重な品になります。

そのため、和歌山産しかなかったようなずっと昔から代々、仕事で日々シュロ縄を使い続けていた方たちの中には、この国産シュロ縄を売って欲しいとのお声をいただくことがあります。
ただ、原料費や人件費を考えると縄としてはあまりにも高値になってしまって今のところお売りはできないかなと考えています。

 

自然にも優しいたわしへ

Left:紀州野上谷産棕櫚束子 小 | Right:たわしストラップ

こうして二番毛などを集めてもう一度生まれ変わった国産シュロ縄は、たわしの横に巻き込む際の紐として使ったり、ストラップとして括ったりなど様々な用途で工房にて活躍してくれています。

せっかく環境にも人にもやさしいたわしを作っている私たちだからこそ、自然の恵みとして採れた棕櫚皮を良いところだけ使って捨ててしまうのはもったいないことです。

すこし手間をかけてでも、できるだけ資源を無駄なく使って物づくりをしていきたい。

そんな気持ちも高田耕造商店の棕櫚たわしたちには込められて日々作られています。